結構な方が、ビジネス=会社と思っている方がいますが、会社というのは日本語で法人、英語でカンパニー(Company)といい、ビジネスを行う際の事業体の一つにすぎません。
オーストラリアでビジネスを始めたい方にとって、ビジネスをするのに会社、カンパニーが必ずしも必要なわけではありません。他にも個人事業主(Sole Trader)、パートナーシップ(Partnership)、トラスト(Trust)といった事業形態があります。
まず最初のステップとなるのがこの事業体の決定です。カンパニーはこの事業体の一つです。下記のオーストラリアで起業する – ビジネスを始める5ステップではステップ 1となります。
この事業体の一つのカンパニーの設立について以下で解説します。
カンパニー(法人)とは
会社、カンパニー(Company)とは、法律上独立した法人格を持つ事業体のことを指します。つまり、会社自体が1つの「人」として扱われ、株主や経営者とは別の存在になります。だからこそ、法”人”と呼ぶのです。
カンパニーには大きく分けて2つあり、
- 皆様もよくご存じの上場企業です。上場企業(Public Company)は我々がそのカンパニーの株を市場で買うことができます。一般的に大企業と呼ばれる存在です。
- これに対し一般的なカンパニーの形態の株式会社、プライベートカンパニー(Private Company)、Pty Ltd=Proprietary Limitedです。プライベートカンパニーは株主50名までの非上場会社のことをいいます。
このプライベートカンパニーをスモールビジネスでは使います。
カンパニーのイメージとしては、ご存じの方も多い
ガンダム
です。
個人事業主は自分が武器を持って戦います。殴られるのも自分です。これに対し、カンパニーはカンパニーというロボットに自分が乗り込み、操縦します。武器を持って戦うのも殴られるのもロボットで、
戦っているのは自分ではありません。つまり、ビジネスをしているのは自分ではありません。
自分はあくまで、そのロボットを中で操縦しているだけにすぎず、戦っているのはロボットです。ガンダムがカンパニー、アムロ・レイが自分です。ザクがカンパニー、シャア・アズナブルが自分です。
オーストラリアでは資本金1ドルで会社を設立できます。
カンパニーのメリットとデメリット
メリットは有限責任(Limited Liability)と節税
有限責任(Limited Liability)
カンパニーのメリットはやはり有限責任(Limited Liability)と税金上の節税のしやすさです。有限責任は会社の倒産時などに、ビジネスの出資者は自らの出資した金額の範囲で責任を負うことで、それ以上の責任を負わない仕組みです。何か事故などを起こしたり、業績不振でお金が払えないといった場合に、ビジネスのオーナーとしての財産が守られる可能性があります。よって、規模が大きかったり、リスクの高いビジネスはカンパニーにすることが多くなります。
節税
もう一つは節税のしやすさ。カンパニーの税率はビジネスをしているカンパニーなら、いくら稼いでも年商50ミリオンドルまで一律の25%。
カンパニーでビジネスを行う際は自分はオーナーであるとともに、カンパニーの被雇用者(従業員、雇われている人)となります。つまり、一般的な従業員同様、カンパニーから給料をもらうのです。当然スーパーアニューエーションの支払いもあります。この給料を調整することにより、カンパニーと自分の税金の合計を減らすことができます。有能な会計士ならこの調整をうまく行いますし、無能ならカンパニーのメリットを使い切れずに終わります。
また、車の所有や経費など、他の事業体にはない方法での計上ができるものもあります。
デメリットはお金がかかる
カンパニーにはデメリットはほぼありません。しかし、唯一お金がかかることです。まず、最初の設立にお金がかかります。そして、毎年車の登録のようにASIC(オーストラリア証券投資委員会)という国のカンパニーの管理機関に登録料を払う必要があります。2026年は329ドルです。
そして、タックスリターンも自分の個人タックスリターンに加え、カンパニータックスリターンが必要になります。一般的にどの会計事務所もカンパニータックスリターンは個人事業主のSole Trader タックスリターンなどより料金が高いのが普通です。
また、カンパニーを閉める時もASICへの申請等複雑になります。
それでもEzy Tax Solutionsならかなり割安で済みます。
オーストラリア会社設立の手順
ステップ1:会社名を決める
まずは会社名を決めましょう。子供の名前のような大事な名前です。慎重に決めましょう。名前はXXXX Pty Ltdとなります。
ASICのウェブサイトで名前が使えるかどうかができます。
ちなみに、カンパニー名を営業名、お店の名前と一緒にするとビジネスネームを取得する必要がありません。
ステップ2:会社の構成を決める
- 取締役(Director):最低1名(オーストラリア在住者が1名以上必要)
- 株主、オーナー(Shareholder):1名以上
- 資本金:1ドルから可能
誰か一人オーストラリア在住の取締役が必要なため、日本在住者だけでは設立できません。現地の代理人、取締役を立てることが一般的です。
オーストラリア在住であればよいので、永住ビザやオーストラリア市民権を持っている必要もなく、ワーホリビザや学生ビザの方でも取締役になれます。つまり、ワーホリや学生ビザの方でもカンパニーの設立はできるということです。
ステップ3:ASICへの登録
カンパニーは通常、30分〜1時間程度で登録完了します。
登録が完了すると、以下が発行されます。
- Certificate of the Registratoin of a Company(登録証明書)
- Australian Company Number(ACN)
これに加え、カンパニーはCompany Constitution(定款)と登記簿を作成する必要がありますので、通常カンパニーの設立には会計士か弁護士に依頼します。
ステップ4:税務関連登録
次に、次にATOの登録を行います。
- ABN
- タックスファイルナンバー
- GST(必要に応じて)
- PAYG Withholding(人を雇う場合)
銀行口座開設
設立後は、カンパニー名義の銀行口座を開設します。カンパニーにはカンパニー名義の銀行口座が必要です。銀行に上記のCertificate of the Registratoin of a Company、タックスファイルナンバー、ABNを持っていき開設できます。
よくある質問
日本在住でも会社設立はできますか?
可能ですが、オーストラリアに住んでいる取締役最低1名必要です。自分が株主、取締役は現地オーストラリアに住んでいる方という構成も可能です。
ビザがなくても設立できますか?
カンパニー設立自体は可能ですが、現地で業務を行う場合はビザが必要になります。
カンパニーにしないと人を雇えませんか?
そんなことはありません。カンパニーであることと人を雇うことは全く関係がありません。
他の事業体からカンパニーに変更できますか?
はい、できます。ただし、契約関係など名義をカンパニーに変更する必要があります。2017年度から事業体の変更に対し、税金上の問題が発生しなくなりました。
スムーズなカンパニー設立とその後のために
オーストラリアでの会社設立は数時間から1日もあれば可能です。これらを自分で行う必要もなく、通常会計士や弁護士が行います。ただ、カンパニー設立後のATOへの登録等があるため、一般的にはそれができる会計士に頼むことが多くなります。
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